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mixiでもいろいろとのっけてますが、近いうちにこっちに移行する予定。
BSRは明智と毛利に愛注いでます。
MSUは三成。
何ってきっとイケメンのツンデレと変わった人が好きってだけ。
FFはセフィロスとルーファウス
RPGは主人公よりもヒールを好きになる傾向が強い。
イケメン頭脳派にどっぷり浸かる。抜けだせない。
乙女ゲーとやら
アリスシリーズ ブラッド、ナイトメア、ユリウス、グレイ。
クリムゾンシリーズ ジャスティン、ランビュール
薄桜鬼 風間、土方、斎藤
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大人の男ってやつさ、駆け引きのうまい人なら尚更いいんでねえの。
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なんでかこれが出来た。これを書くつもりではなかったのだが……
喜助×はる のお話です。何時にないぐだぐだですので苦手な方はここでやめといてください。
これが恋かどうか怪しいんで、題は適当です。
では、続きで本編ですー
もともとさほど接点ない二人であった。時折声をかけられて、仕事はどうだのここまでしか話せないけどとちょっとしたこぼれ話をだのと言って、ご飯を食べた……くらいの記憶しかない。尤も、それははるから考えた側のことであって、きっと素性を調べあげたり日々の仕事を観察していたであろう喜助からすれば違うのだろう。屋敷を走り回って、弄ろうとしてくる兄弟達から逃げながら、はるはせっせと仕事をする。ばったり出くわしたようで実は機会を窺っていたことなど知らない。
接近した大きな契機は、喜助の怪我であった。医者を呼ぶ、そう言って千富が離れた後に、出来るだけ血を止めなくてはと、はるは上着を脱がせてそこへ大判の布を押しつけた。風呂の時に使うものが洗濯を終えて畳んであったのである。喜助が唸り、痛みを感じているだろうとは思ったが、しっかりと傷口に押し当てて出来るだけ力をかけた。
医者が現れて、千富ははるをどこか別の場所で待つように言い付けた。しかし、あまりの痛みだったのだろう、喜助ははるの使用人服の裾をきつく握りこんでいた。千富は深く溜息を吐いて、しっかりやるんですよとはるに言い付けた。
はるは濡れ手拭を喜助の首に当ててやった。額に当てるのがいいかもしれないが、背に傷を負ってうつ伏せているし、何より背に近い首なら、冷やせば少し落ち着くだろうと思ったからである。幸いにも汲んだ水をたえが置いて行ったために、後一刻くらいは冷たさも持ちそうである。じんわりと浮かんでしまった汗を拭ってやりながら、はるは喜助が今更ながらに怖い仕事をしているのを痛感した。
目が覚めると、すぐに喜助は立ち去った。それから後、ちらりとでも喜助の姿を見つけると、傷は大丈夫かと聞きたくなる。だが、殿方に背の傷の事を聞くことは失礼だ、と千富にくぎを刺されていたので我慢している。そんなはるの内心を知らずに、気さくに話しかけてくれる喜助をハラハラしながら見ていた。
「ちょっくら遠出してくるつもりなんでね」
遠出とはどこまでをいうのか定かではないが、ある日はるはそれに合わせてお守りを作って手渡した。一体どこの武士だとはるは自分でも思ったが、無事に戻ってきてほしいという文言を入れて布の口を縫った。
はずだった。
お守りと言うのを買うのではなく、人からもらったのが初めてだった喜助は、中身が気になって(神仏が関係ないと踏んで)その糸を切って中を見た。中には綿と、小さな紙が入っていた。
「早く帰ってきて、たぁ……恋人に言うようなもんじゃねえか」
喜助は笑った。全く、面白い子だ。仕事で行くと知っていて、それでも言うのだから。
「お嬢さんが待っているとありゃあ、さっさと終わらせないわけにいかねぇな」
帰ってきた喜助ははるに可愛らしいことをする、と話して手の中のお守りを見せた。無事に戻ってきますように、という紙を入れたと思っていたはるは、中に入っていた紙を見せられて絶句した。なんということだ。
「わ、たし間違えて……」
幾つか励ましの言葉を書いて、お屋敷で待っています。と言うのはさすがになしだと言いながら、他にもいくつか処分した。その際紙の塊となった二つの山の一つが屑かごに消えたはずなのである。その中の一つである。ここぞという時にはるはその山を間違えたらしい。これがあの兄弟宛でなくてよかったと心底思った。
「間違い?ははっ、ドジっちまったのか。残念だねえ、俺ぁ急いで帰ってきたつもりなんだけど?」
「え、あ、いや、勿論早いお帰りで嬉しいですよ?」
口にすればするほど深みにはまって行っている気がする。恥ずかしい、お守りを作って渡すほどの勇気は今どこへ行ってしまったんだろう。
「おはるちゃん、そーゆーのは好いた男にだけ言ってやんな」
「……でもお守り作ろうって思えるくらいには喜助さんのこと好きですよ?」
それがどれだけの重みをもっていたかはわからない。しかし、それがきっかけでいつの間にか一緒にいる時間が増えたのである。出先ではるの気に入りそうな小物を見つければ、喜助は買わずにいられなくなったし、もうすぐ帰れそうだという手紙が来た場合、なぜかその日からはるは喜助の分まで昼食や夕食を用意した。たえは呆れてものも言えなかった。
喜助が屋敷に戻って最初に出会ったのは千富だった。危険なことをしてきたのかと聞かれて、喜助は適当に濁した。予定より早く終わったこと、これから報告に行くことを話して。そして付け足した。はるは今何処かと。いいから先に報告に行きなさいと言われてやれやれと玄一郎の部屋へ向かった喜助の背を見て千富は笑った。
使用人宿舎に戻ると、はるも丁度戻ってきたところだった。千富は喜助が戻ってきたことを伝えた。
「ええ?い、今何処ですか?」
捨てられた子犬、とはこういうことか、正の言ったことが千富にもわかる気がした。そしてきっと喜助もこの態度にはさぞかし毒を抜かれているだろうと思ったのである。旦那様の部屋ですと答えると、その耳が垂れていくように見えた。すぐに会えるというのに。
ぐったりした様子で部屋から出てきた喜助を、はるが廊下で呼びとめた。お疲れですか…と眉を下げたはるの頭を撫でながら、もうちょっとなら頑張ってやってもいいかと喜助は思う。
「腹減っちまってんだよ。なんか残ってないかねえ」
「僭越ながら、私が作らせていただきます!」
「おはるちゃん太っ腹!ありがてえや」
「ふ、太っ腹……この前のカステイラかしら……」
「いやいや、そういう意味じゃなくって」
使用人と情報屋、そんな二人の日常と言うのは、思ったほど殺伐とはしていないのである。ぶつぶつと呟きながら使用人食堂へ向かうはるの手を握って、もっとゆっくり歩いてくれねえか、すっかり疲れちまった。
そういう喜助の顔は、とても生き生きしていた。